金魚の原種は3世紀頃に中国の長江で発見された「ヒブナ」と呼ばれる野生のフナでした。突然変異により赤く変色した風貌が貴族に愛され、品種改良を重ねながら宮廷で飼育されてきました。「金魚」という名の由来は、”金運をもたらす魚”という意味が込められているんだそうです。
日本に伝来したのは室町時代の中期。貴族や豪族には珍しい愛玩物として親しまれていましたが、当時は戦乱の世であったため庶民にまで普及する余裕はありませんでした。庶民にも広まるようになったのは江戸時代の中期のこと。藩士たちが副業として金魚の養殖を始めると価格が一気に下がり、手軽に入手できるようになりました。明治以降にも、職を失った藩士や農家の副業としても人気を集め、昭和期には諸外国に輸出するまでに成長しました。日本で行われる品評会には、世界中から愛好家が集っています。
日本で飼育されている金魚は数十種ありますが、そのほとんどが朱赤や黄金色をしています。金色の光沢がある朱色(朱金色)とも言われ、「豊かさと権力を象徴する黄金」と「強い呪力があり、病魔や厄災を払う朱赤」の組み合わせが、古来より愛される所以でもあったのでしょう。
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