敷金って何? 何に使われるの?

  • 2018.11.06
  • 2024.01.26

賃貸契約につきものの敷金の役割とは?

敷金は、賃貸物件の入居契約の際に必要とされる初期費用の内訳の1つです。その目的は、将来生じるかもしれない不利益に対して、その解決に必要な費用を保証することを目的とした費用です。例えば、家賃を滞納した場合の立て替え費用として、また退去時の原状回復やクリーニングの費用として、あらかじめ管理会社や貸主に預けておくお金です。
原状回復やクリーニング費用が敷金を超えない金額だったら、残額は原則として借主に返還されるよう民法で定められています。
なお、敷金は地域によっては「保証金」とも呼ばれますが、目的はどちらも同様です。

敷金の目安

敷金や礼金の金額は、家賃の月額から設定されることがほとんどです。概ね、月額家賃に対して0.5~2か月分程度で設定されますが、現在は1か月分が主流となっています。
一方、ペットを飼育する場合は、通常より部屋の損傷が激しい事例が多いので、積み増しされるケースがほとんどです。積み増しは1か月分を目安にしているケースが多いですが、中には2~3か月分積み増しされる物件もあります。飼育するのが犬なのか猫なのか、飼育する頭数などによっても変動するので、事前の確認は必須です。最初からペット飼育を前提とした「ペット共生型物件」などでは積み増しがない場合もあり、これに出合えた方はラッキーでしょう。

返還されない特約事項も

敷金は必要経費を差し引いた金額が退去時に返還されると前述しましたが、中には返還されないケースがあります。
賃貸物件の資料(物件紹介のチラシ)で「敷引き」や「償却」と言う言葉を見かけたことはありますか? これらは通常の契約に追加された特約事項で、敷金の返還義務を免れる項目なので注意が必要です。

敷引きや償却とは、敷金から一定額、または全額を差し引くという特約で、仮に家賃を滞納したり、退去時の原状回復費用が敷金の金額以下だったとしても、敷金の一部、または全額が返還されないことを契約時に定めたものです。
敷引きや償却によって敷金が返還されないことを「返金されないので礼金と同じようなもの」と説明する仲介会社もありますが、敷引きや償却は礼金とは意味的には別のものです。
退去時にあてにしていた敷金の返却がないとなると、がっかりすることでしょう。ですから契約の際は入居時の金額だけでなく、退去時の費用を左右する敷引きや償却がないか、しっかり確認しましょう。万が一、こうした特約があれば、償却の目的を確認し、差し引かれる金額を把握しておくことが大切です。

まとめ

敷金は、①家賃滞納の担保、②退去時の原状回復やクリーニング費用として契約時にあらかじめ徴収されます。家賃滞納や原状回復費用が敷金の金額より少なければ余った分は返還されますが、敷引きや償却が設定されている場合は、全額、または一定額が返還されません。

引っ越しや入居に関するトラブルのうち、比較的上位に挙がるのが初期費用や退去費用などお金に関する問題です。
物件資料はさまざまな管理会社が作成するため、記載方法にはバラつきがあります。特約事項をわかりやすく記載している場合もあれば、小さく補足的にしか記載していない場合もあります。ですから入居申し込みの際には物件資料をすみずみまでチェックして、疑問に感じることが少しでもあったら遠慮せずに仲介会社の担当者に確認しましょう。入居時にしっかりと契約内容を把握していれば、退去時のトラブルを減らすことも可能です。後から「そんなこと聞いてない」「こんなはずじゃなかった」とならないようにすることが大切です。

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