保証会社の役割とは? 何を保証してくれるの?

  • 2020.10.05
  • 2024.02.27

連帯保証人に代わる家賃保証会社の役割

従来の不動産における賃貸借契約は、借主が家賃を滞納をするなどの不測の事態に備えて、連帯保証人(主債務者=借主本人と同等の責任を負うことを約束した第三者)を起用することが一般的でした。しかし、近年では高齢化が進んで現役を退いた親族が増え、連帯保証人の条件に見合う人が減少しました。また、人間関係の事情などによって連帯保証人を頼みづらいということも増えてきた状況もあります。

そこで、現在は連帯保証人を起用する代わりに「家賃保証会社(賃貸保証会社)」を利用して契約を取り交わすことが主流になってきました。民法で令和2(2020)年に行われた改正によって連帯保証人に対する責任能力や責任範囲が緩和され、より保証会社利用の流れが進んでいます。なお、保証会社を利用するには、借主が家賃の支払い能力があるかを審査し、審査を通った方のみが契約が可能となります。

とはいえ従来通り連帯保証人を立てられる人は、保証会社を必ずしも利用する必要はありません。また、オーナーによっては、保証会社ではなく連帯保証人を求める場合もあります。
保証会社を利用する場合は、入居時に保証会社へ契約料を支払います。また、保証会社によっては月々の家賃に保証料が上乗せされたり、契約の更新時に保証料の支払いが請求される場合もあります。

保証会社の働き

何を保証してくれるの?

保証会社は借主が家賃を滞納してしまった場合、貸主に対して一時的に立て替えをしてくれます。ただし、あくまで一時的な立て替えなので、後日、相当額を保証会社に支払わなければなりません。

保証会社を利用するメリット

①お金で保証を買うことができる

保証会社を使う最大のメリットは、万が一の際の負担を親族に頼らなくてもよいということでしょう。いくら親族とはいえ、連帯保証人を快く引き受けてもらえるとは限りませんし、借主は親族だからこそ頼みづらいと言う人もいることでしょう。また、貸主にとっても家賃滞納のリスクを心配しなくてよいので、保証会社利用は安心材料です。
保証会社のよさは、金銭のみで連帯保証を請け負ってくれるということでしょう。

②入居審査が有利になる

もう1つは、入居審査が有利になるという点です。連帯保証人を起用する場合、その人が定職に就いていて、どのような仕事をしているか、これから先も長く支払い能力があるかを貸主が総合的に判断します。一方、保証会社を利用するには、審査を行って借主本人の支払い能力を計るため、保証会社利用=支払い能力ありと言うことなので入居審査も通りやすくなるのです。ご高齢の方や、外国籍の方、留学生など、連帯保証人にふさわしい人が見つからない、近くにいないと言うような人でも、保証会社を利用することで物件を借りる際のハードルが下がります。

保証会社を利用するデメリット

保証会社を利用すれば費用がかかる点は、留意すべきでしょう。金銭によって保証を得る代わりに、利用にともなう契約料や契約手数料が発生します。その金額は、契約時の総賃料=家賃+管理費 (共益費)の30~80%ほど。概ね50%が主流ですが、契約条件などによっては100%請求する保証会社もあります。さらに、1年ごとや更新時に10,000円ほどの更新料も発生します。また、更新料がない場合、月額費用として総賃料の数%を請求されるパターンもあります。

また、保証会社利用の場合は家賃が自動引き落としになるので、家賃に加えて引落手数料もかかります。これらの契約料や手数料などは、契約期間中に滞納がなかった場合でも解約時に払い戻されることはありません。

保証会社は選べるの?

保証会社にはさまざまな会社があります。会社によって審査基準や契約料金が変わるので、できれば有利な会社を選びたいものです。しかし、利用する保証会社は貸主や管理会社が決めるので、借主側では選べません。一方、複数の保証会社を利用している管理会社もあり、審査基準の高いものから順番に審査をかけてくれたり、あらかじめ会社を選ばせてくれるケースもあります。

保証会社を利用すれば連帯保証人は必要ない?

基本的には必要ありませんが、契約内容や借主のケースによっては保証会社と連帯保証人の両方を求められる場合もあります。さほど多いケースではありませんが、保証会社が立て替えた家賃を借主が弁済できないと判断をされた場合、連帯保証人にその弁済を求めることがあるからです。

審査について

審査の内容や基準は?

保証会社の審査は、クレジットカードを作る時と同様に、定期的に家賃を支払う能力があるかが判断されます。物件や保証会社の申込書には年収を記載する欄があり、管理会社の指定に応じて源泉徴収票や直近3か月分の給与明細、確定申告票や課税証明書などを提出する必要があります。

審査については、明確な基準は管理会社にも仲介会社にも提示されてはいません。審査基準はまちまちなのです。ですが総賃料が月収の総支給額(税金などが引かれる前の金額)の1/3程度であれば問題なく通過するだろうと業界では言われています。一方、クレジットカードや公共料金の滞納歴があると審査が通らない保証会社もあります。

保証会社の種類

上記のように、保証会社が借主の支払い能力を審査する基準は明確ではありませんが、保証会社の傾向によってある程度の予測は可能です。保証会社は概ね4系統に大別され、それぞれ特徴があります。以下に解説していきましょう。

①信販系保証会社

クレジットカードの信用情報をもとに審査をする保証会社です。CIC(指定通信情報機構)やJICC(日本信用情報機構)に登録されている個人情報を取り寄せて審査を行うので、審査基準は厳格だと言われています。携帯端末の分割支払いやクレジットカードの滞納、公共料金の滞納、健康保険料や税金の滞納、犯罪歴などがある人は否決になってしまう可能性が高い保証会社です。クレジットカードを持っていなくても審査は可能ですが、カードを持っている場合は、同じ保証会社であれば家賃の引き落としでポイントが貯められる場合もあります。

主な保証会社

  • 株式会社アプラス
  • 株式会社エポスカード
  • オリエントコーポレーション
  • 株式会社ジャックス
  • 株式会社セゾン
  • 株式会社セディナ

②全国賃貸保証業協会(LICC)系保証会社

全国賃貸保証業協会(LICC)加盟の保証会社です。借主の個人情報を協会内で共有する仕組みで、氏名、生年月日、電話番号、免許証などの個人特定番号、契約した物件の情報、滞納があった際の金額などが契約終了から5年間保有されます。
過去に協会加盟の保証会社で滞納歴がある場合、その情報が共有されて審査に影響を及ぼします。

主な保証会社

  • エルズサポート株式会社
  • ジェイリース株式会社
  • 全保連株式会社
  • アーク株式会社
  • 賃貸保証サービス株式会社

③賃貸保証機構(LGO)系保証会社

賃貸保証機構(LGO)加盟の保証会社です。全国銀行協会が設置運営する個人信用情報センターの照合は行わず、加盟企業の中でも情報共有は薄いとされています。審査基準も各社独立しており、比較的審査が通りやすい保証会社と言われています。

主な保証会社

  • ラクーンレント株式会社
  • 株式会社Casa
  • 日本セーフティー株式会社
  • ハウスリーブ株式会社
  • フォーシーズ株式会社

④独立系保証会社

信販系でもなく、上記の社団法人にも所属していない保証会社です。こちらも個人信用情報センターへの照合や各社間での情報共有もありません。完全に独自の審査基準で、比較的緩めな傾向であると言われます。

主な保証会社

  • 新日本信用保証株式会社
  • 株式会社イントラスト
  • 日本賃貸保証株式会社
  • 株式会社ナップ
  • 株式会社宅建ブレインズ

まとめ

借主が家賃を滞納した場合、保証会社は家賃を一時的に立て替えてくれます。民法の改正によってこれまで起用されてきた連帯保証人の責任能力が緩和されたため、リスク回避を目的として貸主が保証会社の利用を求めるようになったのです。東京都では、こうした保証会社の利用を必須とする物件が、全体の9割を超えるまでになっています。

保証会社の審査形態はさまざまで、クレジットカードや公共料金、携帯電話等の支払いに滞納歴があると審査が否決となる可能性が高まります。これを回避するためにも、日ごろから各種支払いには気をつけておきたいものですね。
また、過去の滞納履歴に関して心配な方は、話しづらいかもしれませんが事前に不動産店の担当者に相談し、審査に通りやすい物件を紹介してもらうと言う手段もあります。賃貸に関するさまざまなご相談は、ぜひリライフにお任せください!

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