手付金って何? 金額の目安は?

  • 2020.10.19
  • 2024.02.27

手付金の意味や目的、支払い方など

不動産取引ではさまざまな名目でお金のやり取りが行われます。その一つに手付金もあります。手付金とは法的な関係を結ぶためには欠かせない費用ですが、ケースによってその費用の意味あいが変化します。手付金を求められたときに、「なぜこの段階でお金が必要なのだろう」と疑問や不安をいだかないように、しっかり理解しておきましょう。

手付金とは?

概要

手付金とは売買契約の成立を前提として、正式な契約の前に買主が売主に対して取引金額の一部を現金で支払う費用です。
不動産の売買契約では、契約の締結後すぐに代金の支払いと物件の引渡しが行われるわけではありません。そのタイムラグの間は双方ともに不安定な状態にあると言えます。例えば、ローン審査が通らず購入ができなくなるようなことも考えられます。そのため不安定な状態の間も法的関係をしっかり保つために、手付金が支払われるのです。
また、手付金とは本来的な意味では、取引金額の一部を事前に預けて、全額支払いの際に返還される意味合いの費用です。ですが一度返還して再度全額を支払うのは煩雑になるので、慣例として「代金支払いの際の取引金額の一部に充当する」ことが一般的です。

手付金は用途によって意味合いが異なる

手付金は用途ごとに、概ね3つに分類されます。
①証約手付手付金を支払うことで、売買契約が締結されたことを証明します。
②解約手付手付金は、その支払いによって双方に解約の権利が生じます。買主は手付金を放棄することで一方的な解約ができ、売主は手付金の倍額を買主に支払うことで一方的な解約が可能となります。契約成立後であっても、この費用のやり取りによって相手方の同意なしに解約することが可能です(一定期間の制限あり)。
③違約手付買主の要因によって契約違反が生じた際には、手付金は違約金として没収されます。一方、売主に違約があった場合は手付金を買主に返還するとともに、手付金と同額を買主に支払わなければなりません。
上記の解説でわかるように、手付金とは基本的に「契約締結を証明するためのもの(証約)」です。それと同時に「相手方の債務不履行の有無を問わず解約権を認めるためのもの」でもあります。そして、手付金とは「相手方に債務不履行があった場合には損害賠償や違約金に充当するもの」でもあると言うわけです。
こうした定義づけは民法で規定されていますが、不動産の売買においては宅地建物取引業法と言う法律が採用されます。そのため「証約手付」に加えて自動的に「解約手付」としての意味合いも加味されるのです。しかし、この「解約手付」はいつまでも認められるものではなく、「相手方が履行に着手するまで」の期間に限定されています(手付金支払い後、売主がリフォーム工事や移転登記の準備を始めていたら、手付金を放棄しても解約はできません)。
上記の解説には日常的に使われない用語も出てきます。用語について解説しましょう。

「債務」・・・金銭の支払いや手続きなど、何かしら果たさなければならない義務のこと。
「履行」・・・何かを行うこと、行動を起こすこと。ちなみに「債務履行の請求・催告」とは、相手方に義務を果たしてもらう要求をすること。
債務不履行:お互いが契約を締結する上で負うべき義務を実行しないこと。

不動産の売買契約における売主と買主双方が負うべき債務とは、以下のようなものが該当します。
売主の債務:新築工事やリフォームの実施、移転登記の準備、物件の引渡しなど。
買主の債務:手付金、中古物件購入や工事の進捗に合わせて請求される中間金、残代金などの支払い。

手付金の相場

手付金の相場はいくら?

手付金の相場は、売買金額の5~10%で設定することが一般的です。不動産の売買契約は概ね高額なものですが、手付金によって売買契約の締結を証明するとともに、解約権が生じます。ですが解約権を認めるとしても、ある程度は簡単に解約できないようにも設定されているのです。例えば、手付金の金額が少額だと、安易に解約が横行するおそれがあります。一方、高すぎると今度は手付金に縛られて、売主、買主が何らかの事情で解約したくなっても、なかなか実行に移せなくなるおそれもあります。適度な金額としてこの相場が導かれたわけです。

売主が不動産会社の場合 手付金には上限や保証がある

①手付金の上限が設定されている

新築物件や買取再販の中古物件の場合、売主は不動産会社です。この場合、手付金は宅地建物取引業法によって、売買代金の20%以内と言う制限があります。これは買主が不当な金額を請求されることを防ぐためのもので、万が一、20%を超える金額を支払った場合は、20%を超える部分は無効となります。

②保全措置が義務づけられている

手付金や中間金の合計が一定の金額を超える場合、売主の不動産会社は保全措置(銀行や保証会社による保証契約、保険会社による保険契約)を取らなければなりません。万が一売主の不動産会社が契約中に倒産して履行の完了も損害賠償も不可能な場合、買主に対して不動産会社が返金などを保証する措置です。
※中間金とは、売買契約を結んで手付金を支払った後、残金支払いまでの間に支払うお金。 例えば、中古住宅購入のケースで、売主が新居を購入するための手付金や引越し費用などにあてる費用です。売主と買主の合意によって中間金を定めることができます。
保全措置が必要な案件
未完成物件の場合・・・手付金が売買代金の5%または1,000万円を超える場合。
完成物件の場合・・・手付金が売買代金の10%または1,000万円を超える場合。

手付金は頭金や申込証拠金、内金とはどう違う?

実際の購入前に代金の一部を支払う費用は、手付金の他にも頭金、申込証拠金、内金などがあります。手付金とどう違うのでしょうか。それぞれの目的、特徴を解説しましょう。
頭金売買代金の一部を現金で支払い、残りをローン契約によって後日支払う場合に、先に支払う現金のことです。手付金と同一視されがちですが、最初から購入代金に充当する目的で支払う費用です。手付金のように必須の費用ではありません。金銭のやり取りとしては手付金も同様ですが、本来の意味では購入費用の一部ではなく、手付金と頭金は異なります。
申込証拠金物件の購入意思を強く提示するために、売買代金の一部を預ける費用で、契約締結の際に契約金に充当されます。新築マンションの場合に設定されることが多く、金額は概ね10万円程度です。
内金手付金は契約締結を前提として支払うものですが、内金(中間金ともいう)は契約締結後から引渡しまでの間に、売買代金の一部を支払うものです。内金は支払いが義務付けられいるものではなく、支払いの有無や金額などは売主と相談したうえて決められます。

手付金支払いでの注意ポイント

①ローンで手付金を払うのはアウト

手付金は原則現金で支払うもの。手付金に充当する費用を、ローンを組んで借り入れするのは控えましょう。ローン契約は借金をすることと変わらないので、この履歴があるとローン契約の本審査に落ちてしまう可能性が高くなります。手付金を現金で支払うのが難しい場合は、身内の方などからの借り入れや贈与を検討しましょう。

②ローン特約があるかは必須の確認事項

特約とは、一般的な契約内容に追加条件が付与されていること。このうちローン特約とは、ローン審査が通らずに借り入れができなかった場合に、売買契約を違約金なしで解除できるという追加条件がついた契約のことです。ローン審査に落ちてしまうことは不可効力なので、この特約によって「違約」ではなく「白紙」にすることができるのです。この場合、手付金は全額返還されます。
いかがでしたでしょうか?
不動産はとても大きな買い物です。購入金額の一部とはいえ手付金も十分大きな金額です。売主と十分協議をして支払うようにしましょう。

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